『ふたりの時間』

こないだ病院に行ったとき、うっかり本を持っていくのを忘れてしまったので、待合室でうろうろしていたら『ふたりの時間』という冊子が置いてあった。
表紙には「静かな秘湯めぐりは、大人の楽しみ。」とか書いてあり、僕は「お、旅行関係の冊子かな?」と思って手に取った。
読み進めるうち、「シティホテルで過ごすふたりの週末。」とか「ふたりでスキンシップ(イラスト解説付)」とかの特集が出てきた。・・・え? なにこのエロ特集? と思い冊子の表紙・裏表紙を確かめると、EDトークダイヤルのホットラインが記載されている。そう、つまりはそういうことだ。そういう人がなんとか盛り上がれるように工夫を凝らした冊子だったのだ。どおりで「中年以上のダンディ学 ちかごろ話題の『ちょいモテオヤジ』を目指してみる。」なんて切羽詰った感じの特集があるわけだ。
しかしこの冊子を手にしている以上、僕もそういう人かと思われてしまうわけで、「あの人・・・若いのにかわいそうだね・・・」とか思われる前に万引きしてる中学生みたいに服の中に隠した。その瞬間受付のおばちゃんと目が合い、猛烈な自殺衝動に襲われた。
なんとか思いとどまって家に帰り、なめるように読んでいくといちいち面白い。特にツボったのは「理想のセックスは、どんなシチュエーション?」という特集。
「江戸時代の生娘と雪の積もっている温泉に一緒に入りたい。」(45歳/男性)
「ホテルの最上階で、新選組土方歳三(こっちにタイムスリップしてもらう)と一夜を共にしたい。」(30歳/女性)
 とか連続して見せられるととてつもない破壊力。この括弧書きがたまらない。なぜに土方と最上階なのか30歳/女性。そして江戸時代の生娘に限定する理由を教えてくれ45歳/男性。江戸の娘はみな下膨れだぞ。そういう好みと思って間違いないか?
というわけで、皆さんも見かけたら是非人に見られないように入手して、誰にも見つからないところでコッソリ楽しんでいただきたい。