第32回「山南脱走」

研修に行く途中、三谷幸喜の『オンリー・ミー 私だけを』(ISBN:4877284427)を読んでたら、『振り返れば奴がいる』の話題が出てて、ああ、そういえばあれも若者がぶつかりあったりしがちなドラマだったなあ、そして俺はあのドラマが大好きだったなあと思った。司馬先生と石川先生の対立構造と、土方と山南の対立構造を重ね合わせてみたり。石川=山南ってのは結構はまるかもなあ。いや、おぼろげな知識を元に言ってるだけですけどね。
まあそんなこんなで今回の感想です。
武田がさっそく伊東にすりよってるのがいいなー。この武田観柳斎、絶対八嶋智人のあて書きとしか思えないなあ。異様にはまりすぎてる。
島田はいつのまに土方の手のものになってしまったのか。
山南さん、ここ二週間くらいでずいぶん小さくなったような気が・・・。そして入ったばかりなのに圧倒的な存在感の伊東。土方に囁く言葉は耳に心地よいが内容は真っ黒。そして、そして、ここで土方が山南をどう思ってるか、本心が明かされ始める・・・!! なんでここでこう盛り上げるのー!! 思わずニヤッとしながら次の瞬間に涙がじわっと。もう、ほんとに、引き返せないの?
松平定敬役の人、昔『ハンドク!』で南野風役やってた人だよね・・・。すごいところからピックアップしたなあ。意外と似合ってるし。『新選組!』のキャスティング担当は神。
腐ってる坂本を懸命に説く山南。ああ、沁みるー。後々の坂本の行動指針というか、「人と人とを結びつける」ってことを語ってるー。やっぱり先を見る目があるよこの人ー。
山南の暇乞いをはねつける土方。後で総司に突っ込まれて照れる姿がたまらない。山本耕史は照れの演技がいい。
そしてきましたよ今回の伏兵が。藤原竜也迫真の演技。すごいな、何度見ても泣ける・・・。まさかここで泣くとは思わなかった。俺ね、正直藤原竜也の総司だけはミスキャストだとこの瞬間までかたくなに信じてたんですよ。でもね、このシーンで評価一変。このシーンだけでもこのキャスティングに価値はあった。
そしてそして、近藤の成長を確信し、遺言を残す山南。その後!! 近藤の肩越しに遠ざかる山南の姿。ああ、ほんとにこの人は遠くへ行ってしまうんだと実感させる演出。
とうとう山南さんが・・・。
翌朝。土方の目が潤んでる・・・。近藤の顔が見たことない顔に・・・。そして穏やかな山南の笑顔。
研修中、同室の人が何気なくつけたNHK、『新選組!』の予告が流れる。
「もう、この笑顔に会えない」
 起きぬけのボンヤリした頭に突き刺さるひとこと。